失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


「理由が……あったんだな」

「………なんの話ですか」


これは、たぶん翔の話。
だけど、あたしは一言も話す気はない。


だって、最後まで通さなきゃいけないの、あの2人が、幸せになる為に。


あたしは……枷になりたくないのよ。



「頼む、ならこれだけは教えてくれ」

「……?」


あたしは、「これだけ」という鈴木さんを見上げる。
驚くほど、真剣な瞳だった。


「林檎さん、今幸せか?」

「…………それは……」


幸せ?

一番傍にいてほしい人はもういない。
あたしは、もう…幸せになんてなれるわけがない。


あの人しかいなかった……。
本当の本当に、もう恋はしないかもしれない。


それは、恋に傷ついたというより、翔以上に好きだと思える人に出会えないから。





















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