失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「本当、世話のかかる奴」
そう言って、翔はあたしの涙を親指で拭ってそっとあたしから離れた。
「え……?」
「体験授業、アンタ、口で言っても分からないだろ」
翔はそう言って、上着を羽織り始める。
そんな翔を見つめながら、あたしはポカーンと呆けた。
って事は、翔があたしに無防備すぎるとどうなるか、身をもって教えたって事??
ひ、ひどい……けど、あたしが悪い。
優しいのか、嫌な奴なのか、つくづく分からないな。
「林檎、罰として俺の言うこと一つ聞けよ」
「はぁ!?」
なんの罰よ………って、まさにこの状況の事?
確かに、これはあたしが悪いし、翔に迷惑をかけてしまった。
「むう……」
不服だけど、観念するしかないか。
そう思って、むくれながら翔を見つめる。
「明後日、俺休みだから」
「へぇ、そうなんだ」
翔は服を着ると、ベットに座るあたしに歩みより、そっと手を伸ばしてくる。
え、何……?
それをジッと見つめていると、翔が小さく笑みを浮かべた。