失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「似合ってんじゃん、ソレ」
「へ?」
最初、何の事を言われてるのか分からなかった。
もしかして、今日の服の事……?
それに気づいたら、なんだかたまらなく恥ずかしくて、すごく嬉しかった。
「あ……ありがと」
「っ……別に」
素っ気なく良いながらも、握られた手にさらに力がこもる。
照れているのか、翔はこっちを見てはくれないけれど、何故かそんなぶっきらぼうな態度さえ、可愛く思えてしかたない。
あたし、おかしい。
今までだったらぜったい怒りしか沸かなかったのに、ドキドキしてる…。
不思議、いつもの売り言葉に買い言葉が無いせいか、お互いに流れる空気が、穏やかだった。