失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「はぁ~、やっぱり友坂監督はすごいわ」
映画を見終わったあたし達は、イタリアンレストランで食事をしながら、映画の話をする。
「ありえねー、なんで好きなのに、家庭に戻んだよ?」
理解できないとばかりに、首を傾げる翔に、あたしは身を乗り出す。
「恋愛と結婚は違うもの。簡単に捨てられるものじゃないわ」
そこに、築きあげた関係や、家や、子供や、世間の目がある。
簡単に捨てられないモノがそこにあるから、自ずと帰る場所だと思える。
「恋愛は簡単に捨てられるのかよ?」
「違うわよ、恋愛は、お互いの想いしかそこに無いの。そこに、責任や体裁とかってあまり無いのよ」
別れても、誰に責められる事はないし、終わりは結婚よりあっけない。
ほら離婚なら、離婚届やら、今後の財産の取り分とか、育児費とか、色々面倒だから、簡単には離れられない。
「好きでいる事より、好きでいてもらう事のほうが難しいのね」
あたしが、英太を好きでいる事は簡単だった。
でも、好きでいてもらう事はできなかったから。
恋愛に、永遠なんて、保証されてないもの。