失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
シャンパングラスを傾けながら、あたしは視線を落とした。
まるで、自分の事を言っているようで、辛かったから。
「それは同感、想うより好きでいてもらう方が難しいよな」
「え…」
少し寂しげな声に顔を上げると、翔は遠くを見ていた。
なんとなく、あの雨の日の、何もかも諦めたような翔の姿と今の翔の姿が重なった。
「翔、あなた……何かあったの?」
それが、あたしと同じ失恋なのか、はたまた浮気なのかは分からないけれど、そう確信していた。
でなきゃ、こんな悲しそうな顔出来ない。
「………」
驚きに目を見開いた翔が、あたしをジッと見つめてくる。
ちょっと、ズバッと聞きすぎた?
これじゃあ、嶺ちゃんと同じだわ。