失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「はぁ?そんだけの事で泣いてたのかよ」
「なっ………」
……そんだけの事??
結婚まで考えて付き合っていた彼に振られたのに??
本当に好きだった。
10年ちかく一緒にいたのよ、この人とずっと生きていくんだって思った人なのに…。
それを、それだけの事なんて言われたくない。
「あなたに何が分かるのよ……」
ふつふつと怒りが沸いてくる。
あたしは、キッと目の前の男を睨みつける。
「この人となら、一緒に生きていけるって思えた人だったんだから!!」
瞬きをした瞬間に、瞳から涙がこぼれた。それを見た男は、一瞬息をのむ。
「お、おい……」
「なのにっ……勝手に自分だけ気持ちの整理つけていなくなって!!あたしは、あたしの気持ちはっ…?」
もうすでに、彼だけへの怒りじゃなかった。それは分かっていたけれど、もう止められそうにない。
「誕生日だったのに……」
誰でもいいから、ただ聞いて欲しかったのかもしれない。
「誕生日に振られたのか、踏んだり蹴ったりだな」
「はぁ!?ちょっと、あなたには人を気遣う心は無いの!?」
心の傷口に、塩を塗りつけるような言葉。
なんて、最低最悪な男!!