失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「でも、急に連絡が途絶えて、久しぶりに電話がかかってきたと思ったら、何つったと思う?」
「分からない、なんて?」
「「あなたより好きな人が出来ました、別れてくれる?」だと」
あ……。
だから、翔はあたしが、『誰でも良いわけじゃない、他なんて考えられないわよ」って言った時、冷めた目で『アンタはそうでも、そうじゃねー奴もいるって事だ』なんて言ったんだ。
「そんな、簡単に乗り換えられる程度だったのかって、軽蔑したね。恋愛なんて、所詮そんなもんだろ」
まただ……。
そう言いながら、寂しそうな、悲しそうな顔をする。
「翔は……違かったんでしょう?」
「違うって、何が?」
まよっているような、不安げな視線と目が合う。
「相手がどうだったかは分からないけど、翔はその時、本気で恋愛してた」
「…林檎……」
「という事は、うまくいけばお互いが本気で想い合う確率だって、そう低くないって事よ」
なんというか……。
失恋したあたしがこんな事言うなんて、自分でも思ってなかった。