失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「翔先輩がコーヒー豆の取引をしてる焙煎所のオーナーなんですよ」
「わ、嶺ちゃん」
ヌッと現れた嶺ちゃんにびっくりすると、嶺ちゃんがあたしに、ウインクしてきた。
「リアム・ジャクソンさん、34歳で、翔先輩のバリスタの腕に惚れて、ぜひうちの豆をって、進めてくれたんです」
へぇ……翔って、本当にすごい人なのね。
英語も、発音も流暢だし、パーフェクトすぎる。
「さすが、バリスタ王子」
周りを見れば、英語をかっこよく喋る喋るん目をハートにして見つめている女の子達。
これじゃあ、翔目的の女の子客がたくさんきてもしょうがないわね。
なんだか、ここがモヤモヤするわ。
あたしは胸をそっと押さえた。
「How about our coffee?」
「This coffee is really splendid」
リアムさんの言葉に、ポンポンと英語で答える翔に、目を奪われる。
確かに、カッコイイのよね。