失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「うっせぇ、気遣ってんだろーが」
「どこが!?」
今のやり取りの中にどこに!?
あたしの心はお陰様でズタボロだわ。
「あー!!面倒くせぇ!!」
男はオレンジブラウンの髪をワシャワシャと掻き、苛ついたようにあたしに手を伸ばす。
「なっ、殴る気!?」
殴られる!!
そう思って目をギュッと閉じる。でも、来ると思っていたのは痛みではなくて、あたし以外の温もりだった。
「期待するから、傷つくんだろーが」
「え……?」
あたしは片手で引き寄せられ、抱き締められている。両手でないのは、傘を持つ為だろう。
「人の気持ちなんて、移り変わる。永遠なんて綺麗事だろ」
そう言ったこの人のほうが、何故か辛そうだった。
どうしてだろう。
失恋したのはあたしなのに、この人が泣いているような、諦めているような……そんな感じの言い方だ。