失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
その時英太は、『そんなの、いつか俺がプレゼントするから』って言ってくれたのになぁ…。
「ありがとうございました」
そんな事を思いながら、『7℃』のお店を見ていると、店員さんに見送られて出てきたカップルがいた。
いいな、幸せそう……って、あれ?
カップルをよく見ると、黒髪のオールバックに、紺のストライプスーツの男性に見覚えがあった。
「ねぇ英太、ご飯食べたいな?」
「じゃあ、すぐ近くに美味しいビュッフェがあるんだ。そこに行こうか」
英太……。
可愛らしくて、ふわふわとした女性に腕を絡められながら、笑っている英太がそこにはいた。
可愛くて甘え上手、守りたくなるような女性…あたしとは正反対。
別れてそんな経ってないのに、英太にとってあたしは、すでに過去の女で、すぐに新しい女の事を考えられるくらいに、薄い繋がりだった。
「英太……」
あたしは呆然と立ち尽くし呟いた。
すると、英太はあたしに気づき、目を見開く。
「え、どうしたの英太?知り合い??」
不思議そうに首を傾げる女性に、英太は罰が悪そうな顔をした。