失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「いや、知らないな」
そう言って女性の肩を抱き、何事も無かったように遠ざかっていく背中。
「っ!!」
その一言に、あたしは苦しくて、悔しくて、虚しくて涙が溢れてくる。
「その時、本気で恋愛してた……うまくいけばお互いが本気で想い合う確率だって、そう低くないって…」
翔に偉そうに言った言葉。
でもこれは、あたしがこうして実際に英太に会うまで、付き合っていた時は、あたしを好きでいてくれたに違いないって信じてたから言えた事だ。
でも、きっとそうじゃない。
英太は、あたしと付き合っていた時も、あの女性と付き合っていたいたんだと思う。
「本当、馬鹿みたいっ……」
ポロポロと子供みたいに泣いて、あたしは両手で顔を覆う。
なんとなく、道行く人があたしを好奇の目で見ているのに気づいた。
それでも、あたしはそこから動けない。
どこへ行けばいいの?
どうしたら涙は止まるんだろう。