失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「それ以上、自分を傷つけんな」
「え……」
あたしは、予想外の言葉に、翔の顔を見上げる。
「ったく、ムカつくんだよ!本当に馬鹿だな、アンタ」
「馬鹿って、そんな風に言わなくてもっ…」
こんな時くらい、優しい言葉をかけてくれてもいいじゃない!!この、ブリザード男……。
「違ぇーよ!!そんな男の為に、泣くなって言ってんだよ!!」
「っ!!」
突然怒鳴られて、あたしは目を見開き、固まる。
そして、翔があたしの為に怒っているのだと知った。
「アンタを泣かせて良いのは、俺だけなんだよ、分かったか?」
「翔っ……あなたの方が馬鹿よ」
棘のある言葉の数々は、翔の込めた想いに気づくと、たちまち温かさを感じる。
「何で、そんな優しくしてくれるの……」
泣きながら、翔の胸に抱きついた。
すると、さっきよりも強い力で、抱き締められる。
あぁ、安心する……。
何でだろう、翔の傍は、ずっとここが居場所だったみたいに心が落ち着く。