失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「アンタが……そんな顔で泣いてるからだよ」
「うう……痛い」
翔はそう言ってゴシゴシとあたしの涙を服の袖で拭った。
その腕に、あたしは手を重ねる。
「大丈夫、自分で……」
そう言いながら、翔の手を掴む手に力が入る。
本当は嫌、離さないで欲しい……。
「ったく、こんな時くらい意地張んねーで、甘えろ」
そうだ、こんな時に強がるから、あたしは可愛くない。
だから、英太も……。
「でもまぁ……俺はアンタみたいな強がる女は好きだけどな。意地らしいじゃねーの」
「え……?」
翔は、あたしの手を掴み、急に歩き出す。
あたしは、半場引きずられるように、付いていくのが精一杯だ。