失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「林檎、飯食べよーぜ」
「へ、飯??」
突然の一言に、あたしは目を見開く。
すると、翔は繋いだ手を持ち上げて、不敵に笑った。
「腹減った、林檎も食ってねーだろ?」
翔の言葉に、あたしはコクンと頷く。
「つか、俺今日半日休み貰ったから、林檎の半日も俺に寄越せ」
「は、はい??」
な、なんて横暴!?
涙なんて引っ込んで、驚きに翔を見つめる。
「分かんねぇー奴だな!アンタを1人にしたくねーって言ってんだよ」
「翔………」
だからなんで、そんなに優しいの。
あたし、そんな風に大切にされる理由が分からない。
「だから、飯でも食って、いつもみてぇーに憎まれ口でも何でも言え、な?」
「っ……ありがとう」
また不意に、優しい言葉をかけるから……。
また泣けてくる。
その手に引かれながら、あたしはやっぱり翔が好きなんだと気づく。
翔に忘れられない人がいても、この人を想う度に苦しくなる胸も、優しさに涙が流れるのも、翔が好きだからだ。
また辛い恋をするけれど、それでもあたしは…翔が好きなんだ。