失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「慰めてくれるんじゃなかったの?」
翔の顔をのぞき込み、笑みを浮かべながら首を傾げる。
てっきり、傷ついたあたしを気遣ってご飯を食べようって言ってくれたんだって思ったけど…。
何故か、あたしのアパートで手料理を振る舞う事になった。
それをあたしに作らせるあたりが翔らしい。
「慰めて欲しいのかよ?」
不敵に笑う翔とグンと距離か近づく。
思いの外近い距離に息を止めてしまう。
「俺は、別に構わねぇよ?」
ニヤリと笑う翔に、頬を撫でられる。
いつもなら、「は、何で俺が?」ってぶっきらぼうなくせに、どうして……。
「な、冗談に決まってるじゃない!」
「ハイハイ、腹へったー。なぁ、林檎が書いた本読んでていいか?」
翔は、赤くなって怒るあたしの頭をポンポンと撫でて、キッチンから出ていく。
「別に、いいけど……」
翔、恋愛小説とか読むの??
あたしの事も、知らなかったみたいだし。