失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


それから少しして、和風ハンバーグとミネストローネ、シーザーサラダが出来た。


「翔、ご飯でき……たよ…?」


あたしが盆の上の料理を机に並べ終わり、声をかけようよすると、翔は、ソファーで本をお腹の上に置いたまま眠っていた。


「翔、起きなさいよ」


翔が、腹減ったって言うから、料理作ったのに。
冷めちゃうじゃないの。


あたしは翔の眠るソファーに近づき、揺すろうとして、手を伸ばす。すると……。


ーグイッ


「えっ……」


その手を掴まれ、グイッと引き寄せられる。

あたしは、翔の胸に手をつき、押し倒したような格好になってしまう。



「は……?」

「おや、こんな所に美しい女がいるな」


ポカンッとしているあたしを、目を開けた翔が不敵に笑いながら見上げる。


「こんなに美しいんだ、今夜の夜会の相手は、決まってしまっただろうか」 


この台詞…。
中世の貴族の恋愛をテーマに書いた『この愛が尽きるまで』のご令嬢を貴族の男性が誘う場面だ。
















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