失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
もう結ばれて、外の相手なんて選ぶはずがないご令嬢は、ここでこう言う。
「あなた以外に、相手がいるように見える?って、台詞なんて言わせて、あなたあたしに何させたいのよ」
あたしはその台詞を返して、笑う。
そう、ここでご令嬢は少し怒るんだ。だって、あなたしかいないと思ってるのに、外に心移りするような女に思われたのかって。
「不安なんだ、お前は美しいから」
翔はあたしの輪郭を指でなぞる。
それが、くすぐったくて、しょうがない。
「だから、名案を思いついた」
あぁ、このシーンは、この作品の根本を表すメッセージ性の高いシーン。
「なら、この愛が尽きるまで共にいよう」
私の愛が尽きる事はないから、ずっと傍にいようというメッセージを込めた作品だった。
「現実は、そんなに甘くないわね」
だけどあたしは、苦笑いを浮かべて自嘲的に笑う。
甘くなかった。
恋愛は、苦しくて、切なくて、悲しい。
もう好きになる事は無いって思ってても、報われない恋をしてしまう…。