失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
「なぁ、林檎。もう、あんな男忘れろ、俺にしとけ」
「翔……」
「林檎が好きだ、俺なら、アンタをずっと好きでいる。泣かせたりしねーから」
切実に、そう乞うようにあたしを見つめる翔に、あたしは泣きそうになる。
もう、この人の為に傷ついてもいい。
もうあんな想いしたくないって思ったけど、それでも…。
「翔、あたしもあなたが好き。傍に……いなさいよ」
頬に触れる手に、自身の手を重ねる。
振り絞って伝えた答えに、翔は一瞬目を見開いた。
そして、すぐに笑い出す。
「くっくく……アンタ、何?ツンデレかよ?」
肩を震わせて笑う翔に、あたしはむくれた。
「うるさい…どうせ、可愛げな……」
「可愛いよ、アンタは」
そう言って近づく翔の顔と、かかる吐息にあたしは息を止めて目を見開いた。