失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
Menu~5.好きだけど、引き際を間違えないのが女の美学。
翔と付き合い初めて2ヵ月が経った。
8月の暑い日の朝。
昨日も翔の家に泊まり、隣にはスヤスヤと眠る翔がいる。
時刻はまだ午前5:30。
なんだか不意に、朝早く目が覚めてしまった。
「スゥ……」
寝息を立てて、うつ伏せに寝る翔に、あたしはクスッと笑った。そして、横になったまま、その髪をすいてみたりする。
「幸せだなぁ……」
翔といると、しみじみと感じる。
なんというか、ドキドキするのに、不思議と長年連れ添ったような安心感もある。
「翔、好きよ……」
本当に、心から。
あなたと出会えて良かったわ。
少し体を起こして、窓から差し込む朝日に目を細めた。
本当、良い朝ね。
「そういうのは、直接…俺に言えよ」
「え……?」
聞こえた声に、あたしは寝ているはずの翔へと視線を向ける。すると、翔はあたしを見上げて笑っていた。