失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
ーカツン、カツンッ
「暑いわね……」
紺地に向日葵柄のノースリーブワンピースに、白の低めのヒールサンダル。
額や背中から流れる汗をハンカチで拭いながら、仕事でカフェ『Bitter Lover』にいる翔に会いに行くところだ。
そこで、『7℃』のお店の前を通る。
不思議、いつのまにか、ここを通っても胸が痛くない。
それに、英太の姿を探す事も無くなった。
そんな事を考えながら、あたしはカフェ『Bitter Lover』の前にたどり着く。
すると、いつか会った画家のmikiさんがいた。
あの時と同じように、カフェの中を遠目に見つめている。
「あの、mikiさんですよね?」
違ったらどうしよう。
いやでも、間違いではないはずよ。
おそるおそる声をかけると、mikiさんはあたしを見て、目を見開く。