失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
『美紀(みき)は、画家だったんだ。俺が通ってた大学の教師で、美術を教えてた』
あ!!
そうだわ、翔の元カノの話の人と似てる。
名前も美紀だ、そんな偶然って……。
「その時の教え子が……あのカフェで働いていて…いえ、ごめんなさい」
「え……?」
すると、美紀さんは悲しげに、苦しげに俯いた。
「……元彼なんです、あそこにいるの」
「っ!!まさか、その彼って…泉澤 翔……じゃないですか?」
まさか、その悪い予感が、当たってしまうような気がした。
胸が、ドキドキと鼓動を早め、苦しくなる。
「翔の事を、知っているんですか?」
驚いたようにあたしを見つめる美紀さんに、あたしはうつむく。
翔の、忘れられない人。
そして、最低最悪の、元カノ……のはずなのに、美紀さんは、そんな人に見えないわ。