失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


『美紀(みき)は、画家だったんだ。俺が通ってた大学の教師で、美術を教えてた』


あ!!
そうだわ、翔の元カノの話の人と似てる。


名前も美紀だ、そんな偶然って……。


「その時の教え子が……あのカフェで働いていて…いえ、ごめんなさい」


「え……?」


すると、美紀さんは悲しげに、苦しげに俯いた。


「……元彼なんです、あそこにいるの」

「っ!!まさか、その彼って…泉澤 翔……じゃないですか?」


まさか、その悪い予感が、当たってしまうような気がした。
胸が、ドキドキと鼓動を早め、苦しくなる。


「翔の事を、知っているんですか?」


驚いたようにあたしを見つめる美紀さんに、あたしはうつむく。


翔の、忘れられない人。


そして、最低最悪の、元カノ……のはずなのに、美紀さんは、そんな人に見えないわ。





























< 91 / 116 >

この作品をシェア

pagetop