失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


「あの……どうして、元彼に会いに?」


「知っているか」の質問には、答えなかった。
答えられなかった…の方が正しいかもしれない。


言ってしまったら、美紀さんはもう、何も話してくれない気がしたから…。


ーサーッ


風が、あたしと美紀さんの間を吹き抜ける。
それが、すごく長い時間に思えた。


「私の嘘で、とても…傷つけてしまったから……」


少し泣きそうな顔でそう告げた美紀さん。


きっと、何か理由があるのは分かってた。
だけど、それを聞いてしまってもいいの……?


やっと手にいれた幸せ、誰にも譲りたくない大好きな人。
でも、聞かないでいたら、きっとあたし……後悔する。


「教えてください、美紀さん」


翔の、過去の傷を…もしかしたら癒せるかもしれない。
その結果、翔があたしの傍から離れて行くのだとしても。





























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