失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
だから、話そう。
翔と美紀さんは、また、繋がる事が出来る。
翔は……報われなかった恋を、叶える事が出来るのよ。
「美紀さんは……どうしたいですか…」
あたしも、翔が好き。
だから、自分から諦める人には譲れない。
だけど……もし、美紀さんが…。
「もう一度……翔に会いたい…です。本当に、大切な人だから」
もう一度、翔と向き合いたいって言ったその時は…。
「わかりました、必ず…2人を会わせます」
翔の手が、もう二度とあたしに触れる事が無くなったとしても、背中を押そう。
あたしは立ち上がって、ベンチに座る美紀さんの前に立つ。
「林檎さん……」
「ただ、あたしに1日時間を下さい」
あたしにも、翔を手放す覚悟をさせてほしい。
どんなに時間があっても、そんな覚悟出来る気しないけれど、せめて……背中を押す言葉をかけられるまで、心の整理をしたい。
「林檎さんは…翔とは……」
不安げに揺れる美紀さんの瞳。
あたしは、精一杯笑みを見せた。
「じゃあ美紀さん、これがあたしの連絡先です」
あたしは、仕事で使っている名刺の裏に、メールアドレスと電話番号を書いて渡した。
美紀さんには、あたしと翔が恋人だって事…言わない方がいい。でなきゃ、美紀さんは真っ直ぐに翔に向き合えないから。