失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。


「ありがとうございます…あの、林檎さん」


美紀さんも立ち上がり、あたしにペコリと頭を下げた。


「本当に、ありがとうございます」

「いいんです、あたしの為でも…ありますから…」


そう、あたしの為でもある。


翔の痛みが、痛いほど分かるから、どうかその傷が癒えて、本当に一緒に居たい人と…生きてほしい。



「え……?」

「いいえ、何も。それじゃあ、明日連絡しますね」


あたしの言葉に不思議そうな顔をした美紀さんに、背中を向けて、あたしはカフェへと向かう。


あぁ、どんな顔して翔に会おう。


きっと、遅いって言われちゃうだろうな……もう、13時を回っているもの。


そしてまた少し歩いて、ようやくカフェへと到着する。


ーカラン、カランッ


「いらっしゃいませ……って、林檎さんじゃないか!」


「ど、どうも……」


カフェに入ると、出迎えてくれたのは、鈴木さんだった。あたしを見て、嬉しそうな顔をする。


「翔のやつ、林檎さんが来ないってソワソワしだしててな、困ってたんだ」


ソワソワ……イライラの間違いで無く!?
はぁ、心が穏やかじゃないな。









































< 95 / 116 >

この作品をシェア

pagetop