失恋にはバリスタ王子の恋ラテをどうぞ。
その日の夜、あたしは翔の家に泊まった。
2人同じベッドに横になり、翔は後ろからあたしを抱き締める。
「林檎、今日は静かだな……」
「そう?少し……疲れたのかも」
不安を悟られないように、わざと明るくそう言う。
すると、首筋にに翔の額が当たった。
「……嘘下手すぎなんだよ」
「っ!!」
やっぱり……翔には隠せない。
あたしが、翔の気持ちに気づけるように、翔もあたしの事をよく知ってる。
「話せ、アンタ1人で苦しませたくねぇ」
「翔……」
でも、どうしよう。
今話したら、翔はきっと迷ってしまうわ。
あたしは、抱き締める翔の腕に手を添える。
この手を、離したくない……だけど、翔には、幸せになってほしい。