梅に鶯 ~新選組と私に刀~
娘を抱きかかえ

やって来たのは、新選組の屯所




庭にトンッと降り立つと





たったの少しの音で、幹部らだろうな


刀を構え、俺に向けた




「その子に何をした!!!」



「娘を届けに来ただけだ
刀を仕舞ってくれないか!」



「無事なんだな?」



「怪我はない
寝ているだけだ」



「こっちに渡せ」



「まぁ待て
俺は、この娘と友達になった」


「は?」


皆が目を丸くした



「友として、言わせて貰う
この娘は、あまりにも生きることに
執着がなさすぎる
江戸には、帰らせないことだな
ニコニコしてるのは、偽りだ
心は、自分で暗闇から抜け出せず
助けを待っている」



スヤスヤ眠る、寝顔を見て

自然と笑みがこぼれる



「たまたま…好きになった人が
刀を持っていた
刀を捨てても、嫁にいこうとしても
諦められず、困っているそうだ
どいつだ? 娘の相手は?」




多分、コイツだろう と、思っていたが


その男が、堂々と前に出た



「土方歳三だ
悠真を渡して貰おうか」



「悠真?というのか?」








悠真という名に

俺の記憶が、結びついた









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