梅に鶯 ~新選組と私に刀~
【土方歳三】




「新選組に、土方歳三…お前に聞く!!
悠真に何をした?」




何って……





「道端で倒れている奴を拾ってみれば
悠真ではないか!?
あのように痩せて……
病だろうかと、医者に見せた」




「悠真は、大丈夫なんですか!?」



総司が桂に問うが、キッと睨まれ



「惚けるな!!!
寄って集って、悠真に……
あんなになっても、魚を買いに行くとか
戯言を言い……動こうとする
医者は、安静にしないと命に関わると
言ったぞ!!!
土方歳三!!!俺は、お前に
悠真を助けてやってくれと頼んだ!!!
なぜ、守ってくれない?」





桂の言葉が、理解出来なかった




「体調が戻るまで、預かる!
新選組に帰ると言うなら帰す
江戸で、出家したいと言うなら
江戸まで、送る
兎に角、俺は友を救いたい
脱走ではない旨を伝えに来ただけだ
じゃあな」





ひらりと、塀を乗り越え


桂が消えた


「追いますか?」


「いや、無駄だ」



山崎を止めた





「土方さん…
おタエと恋仲になったのですか?」



「っっ!!なんだよ!!急に!!」



「悠真と散歩中
2人が口づけしているのを見てしまい
それが原因では?と思ったもので」



「あれは、おタエが強引に…だな……」



「皆、聞いてくれ」



近藤さんが、静かに語り始めた




「ここに来てから、悠真に一度も休みを
取らせてない……
悠真に何度休めと言っても
仕事が楽しいと言ってな……
それに、あの痩せよう
歳との間も縮まらず、おまけに
江戸へ帰りたいだ…おかしいと思って
少し、探ろうと歳と山崎君と3人で
おタエに目をつけた
歳には、拒まず惹きつけるように頼んだ
まさか!それを悠真に見られるとは…」



「ホンマは、もっと早くに
気づいてやるべきやってん
無理やり、医者に見せるべきやった…」



「いや……
俺が不甲斐なかったんだ……
悠真との信頼関係を築けず……」




「悠真が帰って来たら
大事にしてやろうな!!」




永倉が、その場をおさめてくれた



帰って来てくれるだろうか



どうか、早く良くなってくれ







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