梅に鶯 ~新選組と私に刀~
【近藤勇】




「買い物に行ってきます」



吹っ切れたように、笑顔で外出の申し出を
しにきた



「誰かつけよう」



「大丈夫ですよ!
買ったものは、届けてもらいますから!」


                 〟






悠真は、嘘など言わない


少しでも、脱走を疑ったことを


申し訳なく想う



「お魚… 僕が、お魚食べたいって
言ったから…買い物に出たんです」


「総司のせいじゃねぇ……」


「うむっ 痩せてきた時には、すでに
それなりの原因があったんだ」


「総司……
俺の勘が、正しければ……
悠真は、おタエに逆らえない状態に
あったのではないかと思っている」


「何か確証があるのですか?」


「言ったろ……勘だ」


「だが、歳の勘は、当たる」


「それにだ……
あんなに、仲良さそうにしてたのに
悠真がいなくなったと聞いても
おタエは、慌てることもなかった
それどころか
捜す必要はないと言った」


「そんなっ!!
寝食共にしてた仲なのに…」


「多分……悠真に嫉妬したんだ
だから、悠真を虐げた」


「恐らく」


「……許さない」


「まだ、証拠はねぇんだ」






山崎君が気づき、歳と俺で目星をつけた


総司は、帰郷をせっかく諦めさせたのに


と、悔しがる






いや、皆それぞれ悔しいはずだ





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