梅に鶯 ~新選組と私に刀~
ふてぶてしい門番に腹を立てた芹沢さんが
右手に持った鉄扇を振り上げた時だった
強烈な大声で
「お待たせしましたぁー!!!」
は?
待ってねぇよ……
「さぁ!行きますよ!!!」
はぁ!? …誰だよコイツ
にこにこ
芹沢さんの振り上げた右手の袖をツンツン
そして、門番に笑顔で
「私の連れです
容保様とお会いする約束しております」
見るからにひ弱そうな色白の……
コイツ…
女じゃねえか!?
男装しているが、間違いなく女…
門番があっさりと俺達を中に入れる
「おい!入ってよかったのか!?」
「?入りたかったんじゃないんですか?」
キョトンと俺を見る
「容保様に会いにいらしたのでしょ?
私、容保様と約束がありますから
あっ!広沢さぁーーん!!」
普通に喋っているかと思えば
急に大声を出す
耳が、痛ぇ
広沢さんは、振り返り状況を把握した様だ
右手を額に当てた
そして、こちらに来る
「悠真…勝手に入れて貰っては、困る」
「広沢さん!私、容保様をお連れします!
この方達、客間にお願いしますね!」
「俺の話を……
あぁ…行ってしまった……」
アイツ、悠真(ユウマ)ってのか…
広沢さんと悠真のやり取りを
黙って見ていた
はぁ
と、ため息を1つ
「ついてこい」
広沢さんは、屋敷内へ
俺達は、黙って後をついていく
悠真のおかげで、容保様に拝謁できる様だ