梅に鶯 ~新選組と私に刀~
悠真と話をしながら

たどり着いたのは、見晴らしの良い丘



「すげえ良い景色」


「でしょ!?
江戸から京に来た日、家出したんです
夢中で走ってたら
ここにたどり着いたんです」



穏やかな話ではないが、悠真はニコニコ

吹っ切れたのか

暗くならないように気をつかってんのか



「悠真も江戸にいたんだな?」


「そうですよ
因みに、皆さんがこちらに来る時も
一緒にいましたよ」


「うえっ!?そうなのか?」


「はい
普通に女の格好でしたから
まぁ 気づかないですよね」


「悠真は、何で…
刀が好きなんだ?」


俺が問うと、自分の刀に左手を添えた


「これがあれば、守れるでしょ」


「だな!言えてる!」


人を殺める為ではない

人を守る為の刀なんだ


「どこにも属してないなら、浪士組に
入れよ!」



悠真がいたら、楽しい

強いし

だから、誘った



驚き目を開き、俺を見つめる


いや、そんな見られると困る!



「ありがとうございます
男性だったら、はいと言いますが…
私、女ですので」


「女だから、なんだ?」



以前、悠真が言ったことをそのまま返す



「なんでしょうね…」



ニコニコと、質問を返された





この笑顔の裏に、何を隠しているんだろう









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