梅に鶯 ~新選組と私に刀~
土方さんが着替えている間


山南さんが、ソワソワしたままの

悠真にお茶を煎れてくれた



「どうして…刀を川に?」



山南さんが聞くと、悠真がニコッと笑い


「捨ててくるように、言われたんです
私……泳げないので……川だったら
諦めがつくでしょう?」



僕らは、悠真になんて言ってあげたらいいのか、わからなくて

黙っていた


「なら、この刀は俺が預かる」


部屋の外にいたらしい、土方さんは

入ってくるなり、そう言った



悠真は、ニコッと笑い頷いた





「しっかしよぉ……よくあれだけ
泣けたもんだなぁ?」



うん 

悠真の取り乱し方は、半端じゃなかった



「川に入ると、死ぬって聞いたんです!
泳ぎというのは、誰でも出来るものではなく、特別な訓練がいるとのことで
私は、訓練受けてないもの!!!」



3人で、目をパチパチさせた



「凄い偏った情報ですね」

「言葉が見当たりませんね」

「……誰から聞いたんだよ」




「お兄ちゃん」



「近藤さん超えたな」





って、土方さんが言うように


僕が子供の頃、近藤さんは


僕を心配して、アレコレと騒ぎたてて


土方さんが呆れて



『総司のやりたいようにさせろ!』



いつも、そう言っていた




悠真は、女の子だから


朝比奈さんが心配するのも無理はない







そう思っていた






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