人魚になんて、なれない
「………………ええ?!」


衝撃の事実だ。


びっくりしすぎて米粒を吹いちまうところだった。


これを菊池が作った?


いや、本当に驚いた。


それだけ、すごい出来なんだよ。


「母親が作ったんじゃお詫びにならないじゃないですか。全部、あたしが、作りました」


「悪かった。うまいよ。詫びとしちゃお釣りがくるぐらいだ。ありがとう」


「いいえ、こちらこそ。心配させてすみませんでした」


頭を下げあう教師と生徒。


なんだかおかしくなって、二人してふきだしてしまった。


「それにしても、お前、やっぱり泳ぐ姿はきれいだな。さすが水泳部だ」


「ありがとうございます」


毎日プールの底から水面を見上げるほど、水の中にいることが好きなのだろう。


「泳ぐの、好きか?」


当たり前のことを聞く俺に対して、けれど菊池は。
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