人魚になんて、なれない
とりあえず、あたしと先生はプールサイドに上がった。
「……で、何をやってたんだ」
「そっちこそ、何でこんなところにいたんですか、先生」
予備のタオルを投げつけたあたしは、いるはずのない場所へ現れた臨時美術教師に疑惑の目を向ける。
「俺のことは後回し。名前は?」
胡坐をかいてがしがし頭を拭く先生は、早く答えろというように顎をしゃくった。
いやあね、ちょっとばかし年が上だからって偉ぶって。
……でもまあ、心配させちゃったみたいだから、素直に答えるとするか。
「……菊池波音(なみね)。三年二組、出席番号5番。かに座のO型」
「何をやっていたのか、っていう問いには答えていないぞ」
煙に巻こうとしたのに、結構鋭いな、この人。
聞こえないように舌打ちをすると。
「聞こえてる」
とタオルから除かせた目で睨まれる。
……お耳がよろしいことで。
「……で、何をやってたんだ」
「そっちこそ、何でこんなところにいたんですか、先生」
予備のタオルを投げつけたあたしは、いるはずのない場所へ現れた臨時美術教師に疑惑の目を向ける。
「俺のことは後回し。名前は?」
胡坐をかいてがしがし頭を拭く先生は、早く答えろというように顎をしゃくった。
いやあね、ちょっとばかし年が上だからって偉ぶって。
……でもまあ、心配させちゃったみたいだから、素直に答えるとするか。
「……菊池波音(なみね)。三年二組、出席番号5番。かに座のO型」
「何をやっていたのか、っていう問いには答えていないぞ」
煙に巻こうとしたのに、結構鋭いな、この人。
聞こえないように舌打ちをすると。
「聞こえてる」
とタオルから除かせた目で睨まれる。
……お耳がよろしいことで。