LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


祥之助は、靴音高くステージを降りた。


いちばん近いソファ席に腰を下ろして脚を組む。


黄金色の宝珠の破片は、でたらめなリズムで明滅しながら祥之助に付きまとった。



ざらざらと低い、音なき声で、祥之助は言った。



【ボクの目的は、「彼」の回復だよ。四獣珠のせいでこんな姿になってしまった。かわいそうな「彼」に、正当な姿を取り戻してあげたい】



祥之助が親しげに「彼」と呼び掛ける先に、黄金色がある。


四つに割れた姿の、もとは球形であったもの。


宝珠の一つとおぼしき、チカラの光を発して宙に浮く存在。



玄獣珠が「彼」に反応している。


「彼」を忌み嫌っている。


「彼」こそが宿敵だと叫んでいる。


「彼」を回復させてはならないと、ぼくに訴えている。



「まだわかんねぇな」



理仁くんが言った。


口調も横顔も、ゾッとするほど冷たい。


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