LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


「わからない? 何がわからないんだ?」


「きみの目的、回復させるだけ? それじゃ語り足りなくねえ? もっと続きがあんだろ。きみさ、目がイっちゃってんだよ」



祥之助の顔に、嫌悪と笑みが同時に浮かんだ。



「おまえにボクの葛藤がわかってたまるか。学校の勉強も、経営学も、マナーも、ピアノも、ゴルフも、英会話も、与えられる課題はすべて完璧でなくてはならない。

一つでも劣ったものがあれば、ボクは生きることを許されない。そんな中で生きてきたんだ」


「あっそう。だから何? これまで頑張ってきたのは誉めてあげるけどさ~、今や便利なひみつ道具の宝珠に巡り合っちゃって、チートスキル使いまくり? 反則じゃねーの?」


「黙れ」



祥之助の表情が歪んだ。


苦痛の表情に見えた。それがたちまち泣き顔になる。


両目から涙があふれると、押し流されるように、その瞳の黄金色がにじんで消えた。


祥之助は頭を押さえて体を折る。


か細い呻き声が漏れる。



どうした? 何が起こった?


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