LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
黄金色の宝珠が、爆ぜるように光った。
【祥之助よ!】
怒声めいた波動とともに、不快な思念がまき散らされる。
祥之助が背筋を伸ばして顔を上げた。
瞳の中に黄金色が、満面に笑みがあった。
「狡猾《チート》とは人聞きが悪い。ボクは正当に有効活用してやるさ。『彼』のチカラも、おまえたちの四獣珠も。
取引だよ、預かり手の諸君。生きてこのビルから出たかったら、四獣珠をボクらに渡せ!」
カツン、と音がした。靴の踵《かかと》の鳴る音だ。
ハッとしたときには、リアさんがぼくと理仁くんの間を通り抜けて、祥之助のほうへ進み出ていた。
「ずいぶん窮屈な家庭環境で、追い詰められて過ごしているのね。同情するわ。よくないモノに魅入られてしまう弱さも、仕方がないのかもしれない。
でもね、わたしはきみのふるまいを見過ごすことも許すこともできない。宝珠なんて、今すぐ捨ててしまいなさい」