LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


ソファのそばのテーブルに、重たげなガラスの灰皿がある。


リアさんは灰皿を手に取った。


祥之助が悲鳴を上げた。



「や、やめろっ!」


「きみを殴るわけじゃないわ」



リアさんは灰皿を「彼」に叩き付けた。



硬いものが砕ける音がした。


砕けたのは灰皿だ。


リアさんは、灰皿の破片を持ったままの右腕を、左手でさすった。



祥之助がソファから立ち上がって、リアさんと「彼」の間に割って入った。



「いきなり何をするんだ!」


「宝珠に依存するのをやめなさい」


「ボクに指図するのか? 調子に乗るなよ、暴力女! おまえなんか、ボクは……」



パシン!


見事な音で、祥之助の頬が鳴った。


リアさんに平手打ちを決められて、見る間に祥之助の頬が腫れ上がる。


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