LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
【祥之助よ、此度《こたび》は何を願う? ただし、我が不完全なるチカラで成せる範囲に留め置け】
宝珠がしゃべった。
バカな。
玄獣珠にも意志があるようには感じられる。
ただ、ぼくが知覚する玄獣珠の意志は、原始的で未学習の人工知能のようなものだ。
快と不快はある。為してはならないことへの本能的な抑制もある。呼べば応える。
ただそれだけ。
でも、あの黄金色の宝珠は、それ以上に明確な意志を示している。
玄獣珠が熱を持って暴れるくらいに不快な人格を有している。
【我が声に驚くか、四獣珠の預かり手どもよ。無理もない。四獣珠は低能だ。会話すらままならぬのだからな】
煥くんが吐き捨てた。
「会話できるから何だって? てめぇの不愉快な声、聞いてるだけで苦痛だ」
【無礼な輩よのう、白虎。この黄帝珠《こうていしゅ》に盾突こうとは】