LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
やめろ、と誰かが叫ぶ。
聞き入れられるはずもない。
【承知したぞ、祥之助!】
黄金色の光が指向的に伸びる。
避ける暇なんかない。
白い光の障壁がパキンと割れる。
射抜かれた。衝撃が体を突き抜けた。
冷たい。
ひどく冷たい何かによって体が侵蝕される。
肌の下を、血管の中を、無数の冷たい虫が這い回るかのよう。
「ああぁぁぁああっ!」
おぞましさに、叫ぶ。
理仁くんが、震える全身を抱えて床に膝を突いた。
号令《コマンド》の力場が消失する。
冷たい虫の大群に神経を冒されていく。
脳に入り込まれる。
猛烈な不快感。吐き気がする。
ぼくは頭を押さえて目を閉じる。
やめろ。来るな。出て行け。