LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


平衡感覚が消える。


床に倒れ込んだのがわかる。


痛みが遠い。



ぼくのチカラを、侵入したチカラが、剥がして奪い去ろうとしている。


ぶちぶちと神経細胞が引き千切られるような感触。


意識が飛びそうになる。必死でしがみ付いている。



怖い。


これこそが自分だと信じてきたものがすべて犯されて壊される。


ただただ怖い、怖い、怖い。



【……ああ、この程度が限界か。仕方あるまい】



ざらざらした声が脳内に響いた。



ばちん!


衝撃とともに、引き剥がされたモノがある。


飛び込んできたモノがある。


それきり、しんとする。


全身の内側にうごめいていた冷たい虫の大群も消えた。


遠ざかっていた意識が次第にハッキリしてくる。



ぼくは目を開けた。


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