LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


「何だ、これ……」



視界に情報が足りない。圧倒的に足りない。


怖い、と思った。


その瞬間。



【見えない怖い足りない数値が消えた怖い消失した数字がない欠落したチカラがない距離が取れない立てない痛い痛い体を打った見えない見えない見えない計算したい数字がほしい何もない玄獣珠が騒ぐぼくのチカラが消えたこれじゃ動けない見えない見えない見えない見えない見えないどうしてこんなことになったイヤだイヤだ観測できないイヤだ情報が足りない怖い怖い怖い怖い見えない助けて立てない式を立てないといけない助けて助けて安定しない怖いチカラがない!!!!!】



思念が奔流する。止められない。


ぼくの思念の声が膨大なエネルギーを伴って、ぼくは口を開いても喉を震わせてもいないのに、勝手に流れ出ていく。


凄まじい大音量で響き渡る。



【どうしてなぜ何が起こったぼくの声が勝手に勝手に勝手にイヤだやめてくれ流れ出てしまう声が聞かれる違う響かせたいんじゃない聞かれたくないどうして勝手に声が聞かれてしまうどうしてどうしてどうしてどうして違うぼくはただ考えてしまうだけ誰か助けてテレパシーじゃないんだこれは号令じゃないんだ何が起こったイヤだ聞くな聞くな聞くななぜどうして何があった聞かないでぼくのチカラはどこに行った情報が足りない怖い怖い見えないこのチカラは何だ何だ何だ?????】



大音量の思念の声は、意識を直に殴り付ける衝撃波だ。


耳や頭を押さえて、この場の皆が倒れ伏す。


皆の苦痛の表情。


でも、ぼくには為す術《すべ》がない。止め方がわからない。


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