LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
【何が起こってこうなったなぜぼくの声がこうなったぼくの視界はどこに行った怖い見えない聞かないでくれ黄帝珠のチカラが発動したのか祥之助の願いが叶ったのかでも違うチカラはあるぼくのではないチカラがここにある怖い怖い怖い見えない見えない見えない願いで消されたはずの理仁くんの声がぼくにあるチカラは消されなかった黄帝珠は不完全だチカラは保存された理仁くんのチカラがここにあるここにあるこれが理仁くんのチカラだそれならまさかぼくのチカラが彼に?????】
床に膝を突いた理仁くんが、愕然と目を見開いている。
自分の手のひらを注視しながら、まるでぼくの声すら聞こえないような様子で。
「何なんだよ、この、うじゃうじゃした数字……」
チカラが入れ替わった?
【不完全だ不十分だでも条件は満たしている理仁くんはチカラを失ったぼくのチカラと相互作用した怖い怖い怖いぼくの視界を返してこんなんじゃ立てない見えない見えない計算できない動けない情報が足りないああ声が聞かれるこの声をどうしたらいいどうしたらいいどうしたらいい止められない止めたい声が抑え切れない声が声が声が勝手に思いが洩れてしまう考えると全部声になる考えるだけで全部聞かれてしまうどうすればいい怖いやめて聞くなイヤだ怖い怖い怖い!!!!!】
思うだけ、考えるだけで、声になってしまう。
すべてを聞かれてしまう。
テレパシーの指向性の制御ができない。
衝撃波めいた大音量も、まったく調整が利かない。
混乱が加速する。指先が冷えて脚が震えている。
体力がすべて声に奪われて、吸い尽くされそうな勢いで発散されていく。