LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


煥くんが無理やり立ち上がるのが見えた。


鈴蘭さんがぼくのそばに這ってきた。



「外傷はない、ですよね? すみません、わたし、疲労は治せないから」



理仁くんが立とうとして、ふらつく。


目を覆って呻いている。



祥之助がブザーを鳴らした。


室内の黒服は動けずにいる。


どこからともなく、別の黒服が現れる。


数えられない。この程度の数を情報として処理するのに時間が必要だなんて。



ぼくは立ち上がれない。意識が遠のきかけている。



鈴蘭さんが、あっ、と声を上げた。



「何、これ? 青獣珠なの? 守ってくれるの?」



ぼくにもわかる。


胸元にある、自分のものではない鼓動がハッキリと聞こえる。



【玄獣珠が、温かい】


< 139 / 415 >

この作品をシェア

pagetop