LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


リアさんの気丈な声が煥くんを呼んだ。それが途中で途切れる。


スタンガンを当てられたリアさんがビクリと硬直する。


弓なりに反った体が、くずおれた。



「姉貴」



理仁くんが悲痛につぶやく。



煥くんに駆け寄った鈴蘭さんが、警棒を突き付けられて目を閉じる。


振り下ろされる警棒。青獣珠の守りがそれを弾き飛ばす。



リアさんが連れ去られていく。


理仁くんが追い掛けようとしてつまずく。



「姉貴ッ!」



チカラを失った声は、リアさんに届かない。



祥之助と黄帝珠の哄笑が重なり合って響いている。


ぼくは起き上がることすらできない。



【無力で、ごめんなさい……】



そして意識を失った。


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