LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―


理仁くんは目を伏せている。


視界に何も入れたくないんだろう。


口元は相変わらず、微笑んだふりを続けている。



「リアさんは?」


「連れてかれた」



理仁くんは背筋を丸めて、椅子の背に額をくっつけた。


明るい色の髪は、リアさんと同じ色だ。



「ごめんなさい」


「何で謝るの?」


「ぼくがチカラを制御できなかったせいで、足を引っ張りました」



情けなくて申し訳なくて仕方がない。



「海ちゃんって、意外と謝るね。チカラが入れ替わってからこっち、何度も聞いたよ。ごめんなさいって。意識のない間も、ずーっとね、ほんとにしょっちゅう謝ってた」


【無力感、失望、劣等感、自尊心】



思念が勝手にこぼれてしまう。


その途端、また、疲労感が肩にのしかかる。


気を付けていないと、チカラを使いっぱなしになるんだ。


数値だらけのあの視界より、はるかにエネルギー消費量の大きなチカラを。


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