LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
理仁くんはしばらく黙っていた。
それから顔を上げて、目を閉じたまま、口元だけでニッと笑った。
「昨日の晩、おれ、ここに泊めてもらった。すっげー金持ちなのな、平井のおっちゃんって。朝飯、うまかったし。
あ、そういや、昼飯まだなんだ。海ちゃん起きねぇかな~と思って、待ってた」
「食欲が……」
「なくても食わなきゃダメ」
【つらい】
弱音がこぼれる。本心を隠しておけない。
こんなの、本当は誰にも聞かれたくない。
【怖い】
でも、一方で、このチカラを理解する理仁くんには見放されたくない。
助けてほしい。
不甲斐ない。
ぼくはベッドに仰向けに倒れた。
白い天井を映す視界は、あまりにも殺風景だ。
数字が見えない。距離も角度も測れない。
怖くなって、ぼくはまた、まぶたを閉じる。