LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「ぼくがさっさと祥之助に対応していればよかったんです。魂《コン》の抜かれた動物や人の存在は知っていました。祥之助が絡んでいるらしいこともわかっていました。
それどころか、話をしようと誘われていたんです。あのとき、誘いに応じていればよかった」
もっと警戒すべきだった。
きちんと計画すべきだった。
綿密に情報収集しておくべきだった。
今さら後悔しても遅すぎるのに。
「おんなじこと、瑠偉っちが言ってたよ」
「瑠偉と会ったんですか?」
「昨日の晩、真っ先に駆け付けてくれたの。海ちゃん、突入の前に瑠偉っちに連絡したんでしょ? 場所は聞かなかったけど、お坊ちゃんちのビルだと思ったんだって」
【一人で何でもできるつもりでいた。そんなわけない。自分でもわかっているんだ、ぼくは視野が狭くて精神的に脆《もろ》いって。ぼくは一人では何もできない】