LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
顔から火を噴きそうだ。
ぼくは年齢相応に、あるいはそれ以上に性欲があって、エロいことも考えるし、いやらしい視点で女性の体を見たりもする。
でも、そんな一面なんて人前では絶対に出したくないのに。
「ま、おれとしても複雑だしね~。姉貴が男からそういう目で見られてるって、わかってても、わざわざ知らされたくねぇや」
「じゃあもう言わないでください」
「りょーかい。たぶんね」
ぼくは髪を掻きむしって、話題を変えた。
「理仁くんはリアさんと仲がいいんですね」
「仲よくなきゃ、生き延びれなかったしね」
「どういう意味ですか?」
文字どおりと答えて、少し間があって、理仁くんは言葉を補った。
「こないだまで、一年くらい、フランスにいたんだ。おれと姉貴、二人で、国外逃亡して隠れてた」
「ほかの家族は?」
「おふくろは入院中。親父は……死ねばいいのに」