LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「すかした口ききやがって! ナメんじゃねえ!」
「怒鳴らなくても聞こえますが」
「んだと、ぉら! やんのか? ああ?」
「きみたちのセリフはワンパターンですね」
ここは各駅停車だけが止まる駅の正面で、ゲームセンターとパチンコ屋の前でもある。
裏通りで薄暗い無法地帯。
警察は、よほどのことがない限り、出張ってこない。
ということは。
「金出せよ、お坊ちゃん。そしたら許してやるよ」
カツアゲの汚い手が、ぼくのほうへ伸びてくるわけで。
「あいにく、きみたちに出してやれる金は一円もないんですよ。その代わりに」
つかみ掛かってくる手を蹴り飛ばす。
「足技なら、すぐに出せるんだけどね。きみたちが満足するまで、いくらでも!」