LOGICAL PURENESS―秀才は初恋を理論する―
「たぶん、わざとでしょ。さよ子ちゃん、昨日は泣いてたもん。何もできなかった、って」
昨日というのは、ぼくと煥くんが意識のない状態で総統の屋敷に回収されたときだろう。
瑠偉が理仁くんに同意した。
「安豊寺さんだっけ? あの子もね。実際に現場にいたのに、自分ひとり何もできなかったって。自分の能力は戦闘の役にも立たないって。すげぇ落ち込んでた」
だから、自分たちにできることを探した?
せめて士気を落とさないように、無駄に元気なふりをしている?
煥くんが口を開いた。
でも、言葉がうまく見付からなかったようで、黙って。
それからどうにか、ため息混じりにつぶやいた。
「無力なのは全員だった」